Nikon F アイレベルファインダー + NIKKOR-S Auto 35mm f2.8
実はNikon Fはすでに1台持っているのだが、この個体のヤレ具合にたまらなく惚れてしまい落札。安くてよかった。
しかし、それなりに不具合も。スローガバナーが固着しているのか低速シャッターが切れない。巻き上げレバーの戻りが悪い。プリズムが割れている。などなど...。
低速シャッターは底蓋を開けてガバナーに向けてベンジンを少々垂らすと復活。しかし、シャッターを切ったあとガバナーの戻りが悪いらしくジィ...と音がする。ま、実用には耐えるので気にしない。
巻き上げレバーは外して摺動部に注油してなんとかなる。問題はプリズム。
当然交換しかないが、純正品は入手困難な上高価。手元部品で代替品を模索するとRICOH XR 500のプリズムがサイズ的にジャスト。ただプリズム底部の形状が異なるためそのままではきちんと収まらない。接眼部との間にスペーサーを噛ませればなんとかなりそうだったので、ジャンクから出たパーツの中からPETRI V6のフォーカシングスクリーン用板バネを発見。見事プリズムを定位置に固定することができて一件落着。
しかし、Nikon Fの機械としての完成度の高さには舌を巻く。どんなに傷ついても、むしろ風格を漂わせてしまうのはさすがだ。
NIKKOR−S 35mm f2.8 これは、まさに「俺の青春」そのもののレンズなのだ。高校生の時ようやく手にしたNikomat FTnのために買った「一番安いNIKKOR」だった。そんな消極的な選択で手にしたレンズだったが、高校生活の様々なシーンや結婚して子ども達が小さかった頃の記録など若い頃の生活シーンをこのレンズを通して見て記録してきた。
なのに、何年か放置するうちにピントリングが固着してしまいどうやっても動かなくなってしまった。そうこうするうちに文鎮としてしか機能しなくなっていたのだが...。
何か月か前にダメ元という気持ちでピントリング周りにエタノールを垂らし込み様子を見ることにしたのだが、そのまま忘れてしまっていた。そして、先日なんの気なしに手にとってピントリングを回してみると、なんともスムースに動くではないか!
まるで岩に刺さった宝剣を引き抜く王子になった気分だ。以降、このレンズをエクスカリバーと呼ぶことにした。
当然、長く放置していたのでカビなども生じていたが前玉と後玉は清掃でキレイになるも中玉は分解できず無理はしないことにした。
このレンズが動かなくなってから全く同じレンズを手に入れ、D40に付けて愛用していたので2本になってしまったが、こちらはフィルム専用として使おう。